tamamurasaki’s diary

不登校、読書、福祉、思ったことなどを書いていきます。

施設支援と地域支援メリット・デメリット

相談援助実習も来週でラスト。

 「やっと終わる」という気持ちと「もう終わりか」という気持ちが半々。「つまらない」と思っている時もあったし、「おもしろい」と感じた時もあった。とくに、利用者が今までにない反応をしてくれた時は面白いと感じる。ダウン症の利用者が今まで返事をしてくれなかった。でも、休憩中、偶然外で出会い。1対1で話す機会があった。それ以来、少しづつ話かけてもらえるようになったし、話しかけても返事してくれるようになった。信頼関係を作るきっかけはどこにあるか分からない。

まあ、こんな話はともかくとして、今回の最大の成果を考えてみる。

 

 一つは、施設により特色があり、役割が異なる。そしてニーズも様々なのだから、それに応じて施設も活用されれば良いと思う。

 例えば、実習施設は障害者が100人程度利用している。障害も重度障害が多く、高齢化し、ADLも低下している。

 一方で、私の勤務するグループホームは25名程度の知的障害の利用者で、軽度の方が半分、重度の方が半分ぐらいで、若年層が半数以上、ADLも高い人が多い。車椅子の人は一人も居ない。せいぜい、杖を付く人ぐらいだ。

 

2つの施設の特徴や強み、弱みを整理すると。

 実習施設は、重度の方でも対応できる体制があり、人員や設備も良い。例えば、レクリエーションは施設内でできるし、病院も敷地内にある。さらに、職員の数も質も圧倒的に良い。福祉系の大学を出ている職員も多いし、レクに来る職員も専門家が多い。つまり、設備面では圧倒的なメリットが有る。

 また、利用者も多く、賑やかなので、さみしがりや、人とのふれあいが好きな利用者は施設のほうが快適に過ごせる。

 逆に、デメリットは職員の人数や利用者の人数が多すぎ、全体の把握が困難という点がある。とくに、職員に関しては、それぞれの上下関係が強いなどがあり、職員間の話し合いや相談関係が不十分な印象がある。これは、利用者の対応を統一するとき、困難な対応を迫られた時、非常に困ることになる可能性がある。

 

今度は、私の働くグループホームのメリット、デメリットを考える。

 メリットは、近隣にスーパーなど地域の生活が接近しているため、健常者により近い生活ができる。施設に居たのでは自分でお買い物するという機会すらなくなってしまう。これは自分で日常を選択し、構築する力、つまり、生きる力をつけるという意味でも非常に重要だ。

 さらに、グループホームは人数が少ないということもあり、コミュニケーションが取りやすく、利用者も職員の名前を全部覚える事ができる。そのため、利用者と職員、職員同士などの関係が非常に密接になる。とくに、職員の連携がしっかりしている点は、利用者対応が統一でき、意思決定なども早い。意思決定の速さは個人の最良を上げる事につながり、アイディアなども出やすいし、反映されやすい。

 また、地域での生活にうまく溶け込めた利用者は非常に活き活きとし、地域移行の理想的なスタイルを確立する人もいる。グループホームから作業所に通い、買い物も自分で行ける。さらに、週末や祭日は市内の自分の両親の家に帰る。そういう環境で生活出来ている人は非常に活き活きとし、地域移行の意義も感じられる。

 逆に、デメリットは、職員の質に問題がある。ほとんど8割近くがパートで構成されているため、あまり考えず仕事への意欲に乏しい人が集まりがちだ。そのため、対応が雑だったり、声のかけ方が雑になりやすい。特に、人が入れ替わるなどし易いため、専門性がつきにくい。

 また、設備も近隣の病院などを利用するため、通院が大変などの問題もある。病気になった時、持病を診てもらう時、病院にかかりにくい環境に置かれ安いため、比較的健康な人出ないとなかなかグループホームで生活するのは難しい。

 さらに、集団生活の中で生きてきた知的障害にとっては地域で暮らすことは非常に難しい生活であろう。日常生活は与えられるものではない。自分で選び形作るものである。施設では、色々とその人が生きやすい設備が用意されているため、生活はすでに用意された環境で生きていける。しかし、地域で暮らすためには、ある程度自分の生活を自分で選択することが必要になる。今日は誰と過ごすか?自分のやりたいことをやれる環境にあるか?なければどうしたら良いのか?地域生活では地域の中で生活を組み上げていく必要がある。そのための支援が必要なのだろうが、費用の問題や時間の問題などで、すべての設備や環境を用意できない場合も多い。作業やレクリエーションは施設では色々と自由に参加しながら、自分の生活を形成できる。しかし、地域では自由にとは行かない。職員も限りがあるし、地域の作業所やレクリエーションは限られてくる。やはり、現状では地域で生活するのに向く利用者と向かない利用者がいる。それは地域の中では施設と文化が異なり、地域の生活には制約が多いからというのが一つの理由だろう。

 

 結論として、両者は異なったものであり、ニーズに合わせて提供できれば理想的だと思う。施設は意思決定能力が困難な利用者、高齢化、重度の障害など多くの問題を抱える方が利用するのが一番良いと思う。

 一方でグループホームは、もともと地域に暮らす障害者が地域で生き続けるために、後見人亡き後も地域で暮らすための施設として提供されれば良いと思う。